【考察】EC王者Amazonはなぜ実店舗に注力するのか
こんにちは。
安川大仁(だいじん)です。
ここ数年、世の中の情勢的に、家で過ごす方が増えましたね。
そのため巣ごもり需要が高まり、各種ECサイトの売上がかなり伸びていると聞きます。
そんなECサイトの中でも、Amazonの最近の勢いは凄まじいものがあります。
元は本の通販サイトであったAmazonでは、今や取り扱っていないものが無い、と言われるほど何でも購入できるECサイトへと成長しました。
そんなAmazonが、昨今力をいれている分野、それは「実店舗」です。
ここでなぜ、Amazonが実店舗の出店に力をいれているのかの理由を、今日はニュースサイトの事例を紹介しながら考察していきます。
すでに欧米で展開されているAmazonの実店舗
上記ニュースで紹介されていますが、Amazonは2021年3月4日にロンドンで「Amazon Fresh(アマゾン フレッシュ)」をオープンしました。
Amazonはすでに、アメリカでも「Amazon Go(アマゾン ゴー)」という名前の無人コンビニ店舗も出店しており、このAmazon Freshは食料品の販売に特化した店舗とのこと。
この2つの店舗は、AmazonのAI技術をフル活用して運用されており、買い物客は欲しい商品を棚から取り、レジに並ばずに持ち帰るだけで購入が可能です。
支払いは、登録済みのクレジットカードから購入分が自動的に支払われるとのこと。
そんな技術の粋を集めた実店舗展開を、今なぜここでAmazonが仕掛けているのでしょうか。
Amazonが実店舗に注力する理由
Amazonが実店舗の出店に注力する理由はいくつか考えられますが、シンプルに「実店舗での小売業は依然有力だから」ではないだろうか、と僕は考えています。
そう考える根拠は、大きく3点あります。
まず1点目は、「ECサイトを使わない層へのアプローチがまだまだ強い」という点です。
コロナ禍以前の2018年度に、NRI野村総合研究所が満15歳~79歳の生活者1万人を対象に行ったアンケートによると、過去1年間におけるオンラインショッピング(ECサイト)を利用した人の割合は58%だったそうです。
逆に言えば、残り42%の人は、ECサイトを利用しておらず、店舗などで購入している、ということです。
店舗を利用する人の数が、今後増加する可能性は十分にあります。
店舗では、自分の目で実物を見たり触ったりすることができるため、見て判断し購入したい、と考える人にはまだまだ店舗の存在は大きいでしょう。
そして2点目は、「店舗は消費者の購買欲を喚起させる効果が高い」という点です。
例えば皆さんは、仕事帰り、帰路の途中にあるコンビニを見て「そういえばお腹減ったな。晩御飯でも買っていこうか。」と考えふと寄ってしまった経験は無いでしょうか。
このように、店舗は特に、潜在的な消費者の購買欲を喚起させる効果が高い傾向があります。
これは食べ物に限らず、雑貨でも服でも本でも、同じです。
ネット上でも、アフィリエイト広告などがあるとはいえ、まだまだ店舗の実際の商品の方が潜在的な消費者の購買欲を喚起させる効果が高いと言えます。
3点目ですが、「店舗に最新のテクノロジーを配備することで購入者に新しい価値を提供できる」という点です。
これは、今まさにAmazonが仕掛けている戦略の1つであり、従来の店舗には無かった新しい価値だと言えます。
上記の記事でも紹介されている通り、Amazonは新しくヘアサロンをロンドンにオープンしました。
このヘアサロンが他の店舗と全く異なるのは、Amazonの最新技術を体験できる、という点です。
たとえば、カットに訪れた利用者は、鏡に装着されたモニターでAR技術を使ったバーチャル・ヘアカラーを体験することができます。
また、展示されているヘアケア製品を指差すだけで、ディスプレイにその製品の詳細情報やブランドのビデオが映し出されるのだとか。
上記の例は美容院ですが、こういった技術は小売店などの他の店舗にも応用可能ですし、Amazonも恐らくそのつもりでしょう。
以上の3点から、まだまだ店舗での販売はECサイトに取って代わるものでは無いと考えます。
Amazonはこういった点から、ECサイトだけで無く、実店舗でのシェアを掌握することで、いずれ世界の小売業のシェア全体を獲得しようと考えているのではないでしょうか。
以上、Amazonが実店舗に注力する理由の考察でした。
Amazonの今後の戦略から目が離せませんね。